中国で相互宝、水滴互助のP2P保険が人気な理由とは?

相互宝は2018年10月のロンーチ以来、加入者数が1億人を超えました。相互宝と概ね同じようなP2P保険の仕組みで運営している、テンセント出資の水滴互助も2016年5月のサービス開始から現在までに8,000万人以上の加入者数となりました。以前の記事でアリペイの相互宝を例として、中国の革新的なP2P(peer-to-peer)保険の仕組みを説明しました。今回の記事では、P2P保険が一体なぜそれほど人気があるかを説明します。

中国保険市場の現状

中国の保険浸透率(国内総生産に占める収入保険料の割合)は4.6%であり、台湾の21.3%や香港の17.9%などアジア諸国に比べると低い水準にあります。

出典:スイス・リー

中国の保険浸透率が低い理由は下記の通りです。

  • 多くの国民が生涯にわたって、一度も保険に加入したことがありません。地方では特にその傾向が顕著であり、保険の重要性に関する意識が今も低く、どのような保険にも入っていない人が大勢います。
  • そもそも保険の種類が少なく、金額も低いため、保障が十分ではありません。多くの人が貯蓄性の保険に偏っている一方、医療、疾病、死亡などに関する保障に備えていません。

ところで、中国におけるネット保険販売はネット利用の普及と共に拡大しつつあります。ネット保険普及率(ネット保険経験者数に対するネット利用者数の割合)は2013年の8%から五年間で27%にもなりました。中国人にとって、オンラインによる保険加入が増加傾向にあると言えます。

出典:iResearch China、テンセントの《2018年ネット保険年度報告》

ネット販売の保険種類別の内訳を見ると、健康保険料に占める割合は2017年の4.3%から2018年の10.3%に跳ね上がりました。

出典:中国保険行業協会

加入することに決めた理由っては?

相互宝と水滴互助のような画期的なP2P(peer-to-peer)保険は、従来の保険とは、概念が大きく異なるかため、一定程度の不安があるとみられるものの、インターネット上では、多くのポジティブ内見を見つけることができました。
参照:ウェイボー

  • 保険料が極めて安価であり、かつ年齢、性別を問わず、保険料が同じにされているので、高齢になればなるほど、P2P保険料は平安健康保険会社の同等な保険の保険料より割安になります。

  • 保険料を払うことが、人々を支えるという貢献的なモチベーションにつながります
  • 自身だけではなく、契約者は子供、両親、配偶者などの家族にも加入させるので、家族の扶養義務も満たすことができます
  • 世界のガン診断率は0.24%であるの対し、中国のガン診断率は0.3%となっていることもあり、昨今は、ガン保障が注目されています
  • 相互宝の運営主体とするアント・フィナンシャルや水滴互助の戦略パートナーとするテンセントは共に中国の大企業であり、商品に対する信頼度が高い傾向があります

今後の展開

従来の保険会社の利益は、(保険料-事業費-支払保険金)でしたが、相互宝のようなP2P保険の場合は、保険会社が支払保険金のX%の運営費用を受領する形になります。保険会社の収益性を考えれば、従来の保険の方が高いと考えられすが、「P2P仕組みの革新性、ガン保険、信頼される運営会社」の三つの特徴もあり、数千万人の加入につながっています。

P2P保険による顧客基盤の拡大にあり、アリペイと水滴のそれぞれのネット保険ショップで多様多種な保険商品のアップセル機会が生まれ、利益向上を実現するという壮大な計画であろうと考えられます。

相互宝の契約者の分布によると、2018年に30歳未満の方は約半数を占めていました。日本でも、若齢層の保険加入率が低い点は中国と類似しているので、日本での流行の可能性もあるのではないでしょうか。

 

AUTHOR著者
Elaine Tung/ イレイン

香港出身。外資系金融ソリューション会社に顧客担当として従事後、保険業界へ転身し、戦略企画や市場動向分析などに携わった。東京の日本語学校に留学しその後justInCaseに参画。趣味は、音楽鑑賞、旅行、筋トレ。CFA協会認定証券アナリスト。PRINCE2プロジェクトマネジメント プラクティショナー。
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